ナイアシンアミド(別名:ニコチンアミド)は、ビタミンB群の一種である「ビタミンB3」の水溶性成分です。近年では、スキンケア成分としてだけでなく、サプリメントとしての健康効果も注目を集めています。
この記事では、ナイアシンアミドをサプリメントで摂取した場合に期待できる効果や注意点を、最新の研究情報も交えて詳しく解説します。
エネルギー代謝をサポートする補酵素の材料に
ナイアシンアミドは体内でNAD(ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド)やNADPという補酵素の材料となり、これらは細胞内でエネルギーを生み出すために欠かせません。
糖質・脂質・タンパク質の代謝を円滑に行うため、ナイアシンアミドは疲労回復や倦怠感の軽減に役立つ可能性があります。

神経の健康維持とメンタルサポート
ナイアシンアミドは神経細胞の修復や保護にも関与しており、神経系の健康を保つ役割を担っています。
最近の研究では、以下のようなメンタルヘルスへの良い影響も示唆されています。
- 不安・うつの症状軽減
- パニック障害の緩和
- 認知機能の維持・改善(アルツハイマー病研究も進行中)
これらはNADが脳のエネルギー代謝を支えているためと考えられています。
肌や粘膜の健康を守る
ナイアシンアミドは、皮膚や口腔、消化管などの粘膜を健康に保つ作用もあり、皮膚炎、口角炎、舌炎などの予防・改善に効果を発揮します。
特にビタミンB3が欠乏すると発症する「ペラグラ(皮膚炎・下痢・認知障害)」の予防には欠かせません。
抗炎症作用と抗酸化作用
ナイアシンアミドには炎症を抑える作用があり、関節炎や皮膚炎など、体の慢性的な炎症を和らげることが研究で示されています。
また、細胞のエネルギー生産を担うNADの働きにより、活性酸素の除去もサポート。老化防止や生活習慣病の予防にも役立つ可能性があります。
糖尿病・脂質代謝異常への研究も進行中
ナイアシンアミドには、膵臓のインスリン分泌細胞(β細胞)を保護する作用があるとされ、1型糖尿病の発症予防を目的とした研究も行われています。
ただし、血中脂質(LDL・HDL)への作用は、同じビタミンB3系である「ナイアシン(ニコチン酸)」の方が強力です。ナイアシンアミドには、フラッシュ反応(顔が赤くなる症状)がない点で使いやすいという利点があります。
推奨摂取量と副作用について
ナイアシンアミドは比較的安全性が高いとされますが、高用量摂取では注意が必要です。

項目 | 内容 |
---|---|
一般的なサプリ摂取量 | 100〜500mg/日 |
長期の安全上限量 | 500〜1000mg/日(体質や年齢による) |
高用量時の副作用 | 肝機能異常、吐き気、血糖値変動など |
摂取を控えるべきケース | 肝疾患、糖尿病、妊娠・授乳中の方などは医師に相談を推奨 |
ナイアシンアミドとナイアシンの違い
比較項目 | ナイアシンアミド | ナイアシン(ニコチン酸) |
---|---|---|
主な用途 | 神経保護、皮膚、抗炎症 | 脂質改善、血管拡張 |
フラッシュ反応(顔の赤み) | 起こらない | 起こりやすい |
高用量での副作用 | 比較的穏やか | 肝障害・血糖上昇リスクあり |
近年話題のNMNやNRとの関係
ナイアシンアミドは、近年注目されている**NMN(ニコチンアミドモノヌクレオチド)やNR(ニコチンアミドリボシド)**の前駆体でもあり、どれも最終的にNADを増やすという共通の目的を持っています。
これらの成分は「アンチエイジング」「長寿効果」の研究対象にもなっており、ナイアシンアミドも今後さらに注目される可能性があります。
ナイアシンアミドは“体と心の元気”を支える栄養素
ナイアシンアミドは、エネルギー代謝から神経・皮膚の健康維持まで、さまざまな役割を担う頼れる栄養素です。
サプリメントとしての摂取は、次のような方に特におすすめです:
- 疲れやすい・ストレスが多い
- 肌トラブルが気になる
- 集中力や記憶力を高めたい
- 加齢による不調を防ぎたい
安全に利用するためには、用量を守り、継続的に体調の変化を観察することが大切です。