カムチャッカ半島の地震による津波のニュース、「Tsunami」の文字が気になります。
はじめに
「津波」という言葉は、日本ではあまりに身近ですが、実は世界でも tsunami として通用します。
英語にはもともと tidal wave という表現がありましたが、なぜ置き換えられたのでしょうか。
その理由を、歴史・科学・国際報道の流れから紐解きます。
1. 日本から始まった国際語への道
津波研究は、日本が世界をリードしてきた分野です。
明治後期から昭和初期、日本の学者たちは海外の学術論文で tsunami を使用。
これが国際的な専門用語として定着する第一歩となりました。
2. “tidal wave” が抱えていた誤解
かつて英語圏では tidal wave(潮の波)が使われていましたが、津波は潮の干満とは無関係です。
発生原因は地震・火山噴火・海底地すべりなど、急激な地殻変動。
正確さを求めた科学者たちは、この誤解を避けるため tsunami を採用しました。
3. 災害報道が広げた“Tsunami”
言葉の浸透を加速させたのは、大津波の国際的ニュースでした。
1946年のアリューシャン列島地震、1960年のチリ地震、そして2004年のスマトラ沖地震。
各国メディアがこぞって tsunami を使い、世界中に広まりました。
4. 科学用語から日常表現へ
現代では tsunami は自然現象の意味にとどまりません。
- a tsunami of change(変化の大波)
- a tsunami of emotions(感情の大波)
といった比喩として、日常会話やビジネスの場面にも使われています。

まとめ ― 言葉が海を越える瞬間
tsunami が英語にそのまま取り入れられた理由は、
- 日本の研究成果の国際的発表
- “tidal wave” の不正確さ
- 災害報道による世界的な浸透
- 比喩表現としての広がり
の4つに集約されます。
こうして「津波」は、日本語でありながら、国際的な共通語として生き続けています。